『多井熱』発売記念イベント@芳林堂書店高田馬場店 イベントレポート
先日4/16(月)、麻雀プロ団体 RMU代表・多井隆晴プロの新著『多井熱』の発売記念イベントが芳林堂書店高田馬場店主催で行われました。
麻雀プロの中でも、何人か好きなプロ雀士の方はいますが、僕は特に多井プロが好きです。詳細な経歴などはこちらをご覧いただければと思います。
今回はイベントの内容はもちろんのこと、多井さんが語ったこと、会場の雰囲気などを記事にしていきます。(イベントからのタイムラグがあるのは僕が筆不精だからです)
多井熱 (近代麻雀戦術シリーズ) [ 多井隆晴 ]
|
所持金200円で海外に行った【タイ編】
大学四年生の春ということで、私はタイに行っておりました。もう一月も前なんですけど、筆不精がたたって今に至ります。うふふ。
タイっていい国ですよね。遺跡は荘厳で女の子もかわいい。微笑みの国ってのは、こっちが微笑んじゃうってニュアンスもあるのかもしれません。知らんけど。
ただまぁね、だいぶ色々と強行して(僕の無計画さが露呈しただけ)行った旅行だったので、問題もあったんです。
朝成田空港に行くじゃないですか。僕の最寄駅からは約2000円かかるので、前日ちょっと多めにSuicaに入れておくでしょ。
で、朝空港に着くじゃないですか。帰りの分はチャージしなくても大丈夫そうな額は残ってたんですよ。
「久々の海外、楽しみだな~」なんて思っていた僕は、財布の中に200円しか入っていないことに気付きます。
「あ、降ろさなきゃ」
キャッシュカード、イン
「残額 400円」
僕「?」
何度見てもその表示は変わらず、携帯で支払履歴を確認。あ、そういや今月引き落としのやつあったな。
友達が空港に着く。
友達A「いくら持ってきた?」
僕「200円」
友達A・B「?」
僕「(財布を見せる)」
友達A・B「お前スゲーな」
僕「とりあえず飛行機乗ってから考えよ」
我ながらすごいと思った。
とりあえず、友達がいくらか貸してくれたので、バーツに替えて飛行機に乗る。
7時間ほどのフライトを終え、着いたらそこは微笑みの国。
フライト中に見た『About Time』という映画がすごく面白かった。
でも正直頭の中はずっとAbout moneyであった。(うまい)
ホテルに着く。貸してくれたお金は十分な額であったが、僕は夜の街に行きたくて仕方のないうぶな少年だった。
僕「もう少し貸していただけませんか」
友達B「Twitterで言いねの数×30バーツ(90円)なら貸してあげる」
結果↓
タイに来たものの所持金200円の僕はなにも出来ないない状態です。同行者の二人がいいねの数×10バーツ(300円ほど)貸してくれるらしいので、みなさんいいねお願いします。 pic.twitter.com/kkWmQJlwEf
— シュウユウ (@syuyuJAPAN) 2018年2月15日
僕「よっしゃ楽しめる!!!!!!!!!!!」
3000バーツ分のいいね!を借りることが出来ました。みなさんありがとう。マジで。
一回だけだけど、楽しかったよ。今度はちゃんとお金もって何回も行きます。
旅行自体はいろいろ行きました。ムエタイ見たり、観光地行ったり。お酒飲むだけだけど夜の街に繰り出したり、繰り出したり、繰り出したり。
ワットポーとか、アユタヤとか主要観光地は大体めぐりましたね。バンコクとアユタヤだけなんで、タイを全部楽しめたわけではないと思いますが。
ここまでは割とふつうの旅でしたが、帰るときにめちゃくちゃな体験をすることに。
4泊5日の行程を終え、我々は帰宅の途へ着くべくホテルをAM5:00に出発、6:00にはチェックイン、8:00にタイを出国しました。出国前にタイへお別れをし、機内で思い出に浸りちょっと寝ていたら朝ごはんの時間に。食べながら「ダイハード」を見ていたのですが、なにやら機長からタイ語のアナウンスが始まりました。もちろんなに言ってっか全くわかりませんでしたが、直後に日本語でこんなアナウンスが。
「当機はエンジントラブルのため、一度空港に引き返します」
ぼく「!?」
えぇ、気分はジョン・マクレーンですよ。頭の中で自分の声を故・野沢那智さんに置き換えながら、少し慌てていました。
「チクショオオオオオオオ」
脳内再生余裕です。本当に嫌なことがあれば人間チクショーって感情しか湧きませんね。
離陸してから1時間ほど経っていたので引き返すのもまた同じくらいかかりました。
ここまでは無事に済んでよかったな、落ちなくてよかったな、という感情が主たるものでしたが、本当に不安になるのはここからでした。
さっきまで日本語でアナウンスしてくれてた人、空港に着いてから何にも言ってくれなくなったんですよ。これから僕らはどうすればいいのか。
マクレーン刑事はいったいどうなるのか。あと30分だったのに。
なんかよくわからないまま空港について飛行機を下され、バスに乗せられる。
そしてさっき通ったばかりの入管へ。一度出国手続きをしたのに、そのスタンプの上にはcancelledの文字が。
>> cancelled << pic.twitter.com/ASPFYQXI9h
— シュウユウ (@syuyuJAPAN) 2018年2月19日
一応タイ国際航空というふつうの航空会社だったので、LCCみたいな自己責任という感じではなさそう、というのが伝わってきてはいました。
ちゃんと振替の便も用意されているようで。
でもなんで12時間後なんだ。結構なトラブルだったのだろうか。
ただ、どうするのかのアナウンスくらいはほしかったですね。とりあえず並ばされているだけの時、めちゃくちゃ怖かったですもん。
一緒に並んでいたおじさんが海外慣れしているようでいろいろ教えてくれて安心しました。同胞ってこういう感じでしょうか。
その後、振替フライトまでの間待つためのホテルへと移動。
なんの説明もないままとりあえずホテルに誘導されました!怖いです! pic.twitter.com/npBRnFQKDc
— シュウユウ (@syuyuJAPAN) 2018年2月19日
タダメシ pic.twitter.com/99i7RujuCV
— シュウユウ (@syuyuJAPAN) 2018年2月19日
宿泊代、食事代などはタイ国際航空持ちということで(これの説明も明確にはなかったはず。ホテルの人に聞いたら教えてくれたけど)、一応一安心ではありました。
することもないので寝ることに。
そして起きたら、ちょうど空港までのバスが出る前くらいの時間。
ちょくちょく確認行ってたからよかったけど、そうじゃなかったらどうなっていたんだろうと思うと・・・。
空港に着くと、再びチェックインのためにチェックインカウンターへ。
すると前の方がなんだかもめている。不安がまた胸をよぎる。
空港職員と乗客の会話が聞こえるくらいのところまで行くと、「席なんでないの」、「大阪行きはあるらしい」とか聞こえてくる。
あぁ、タイでもう一泊かこれ?ものすごく不安になり、最悪大阪行きなら新幹線代をせびって大阪で遊んで帰ろうかとも考えた。
僕たちの番がくる。航空券とパスポートを見せる。
するとすんなり、座席が割り当てられたチケットを渡してくれた。
これは推測にすぎないんですが、最初に乗った機体は二階建ての飛行機で、振替の機体は普通のやつで座席が足りなかったんじゃないかなと。席を用意してもらえなかった人たちがどうなったか、僕には知るべくもありませんが。。。
そして機内へ。
飛行機に乗りやっと帰国できる安心感と、ダイ・ハードを見ることが出来る喜びが一気に押し寄せてきました。しかもさっきまで寝ていたからか眠気は来ず。マイティー・ソーも見ちゃった。
成田に着く。やっぱり日本って最高だわ、そう感じたのは、ラーメンをたべたときですね。家系サイコー。
僕自身は二度目の海外だったのであんまり実感なかったんですが、これめちゃくちゃ貴重な体験だったらしいです。もう二度としたくねぇけど。
後日ニュースでこの件を確認しました。あんまり大きな話題にはなってなかったけど、当事者からしたらめちゃくちゃ怖かったです。
成田行きタイ航空機がエンジントラブル、バンコク空港に引き返す | newsclip (ニュース、社会のニュース)
以上!
『漫画村』利用者は乞食の自覚を持って欲しい。
日本人様、たいした民族ですわ!
あなたはアニメをテレビで見ますか?音楽はCDをコンポとかで聞きますか?ゲームはコンシューマー機でプレイしますか?そして、
漫画は紙で読みますか?
このご時世、これらの質問に全てイエスという人はいないだろうし、いたとしたら相当こだわりのある人なように思える。
なぜなら、これら全てがスマホ一つで出来てしまうから。
アニメやドラマ、映画ならHuluはじめNetflix、AmazonPrimeなど数多くの定額ストリーミングサービスが普及しているし、音楽にしてもSpotifyやAppleMusicなどでその試みは行われている。
ゲームの分野に至っては、基本無料を謳うソーシャルゲームが隆盛を極めており、市場の規模はかなりのものである。私が好きなパワプロシリーズのアプリ版の売り上げもかなりのものらしく、30年近く築いてきたシリーズ累計の売り上げすら脅かすほどだ。
これらはここ7〜8年の動きだが、漫画や小説の電子化はもう少し古くまで遡れる。まだスマホなど無いガラケー主流の時代にはすでに電子書籍のサイトがあった。今ほどサクサク読めはしないが、読みたい漫画をすぐ読めるというのは非常に便利に思えた。
こう考えてみると、音楽配信サービスもMusic.jpなどのサイトで「着うた」、「着うたフル」などの形で行われていた。中には定額制のものもあり、聞き放題ではないが多くの楽曲を楽しめた。
着うたなんてついぞ聞かなくなったが、おサイフケータイといい着眼点は良かったのにどうしてこうも伸ばしきれなかったのだろう、日本の技術者。ガラパゴスェ…
最後は脱線したが、ここまで滔々と現在の日本でコンテンツに触れる方法を述べてきた。しかし、上記のものは全て「合法」だと胸を張って言えるものばかりである。
あなたは聴きたい曲があった時どうしているだろうか。定額制サービスを利用していてその曲がラインナップに入っていたり、自分で購入してしまえばすぐ聞ける。しかし、そうではない場合どうか。多くの人が、Youtubeを利用するのではないだろうか。
しかし、そこにアップされている曲は合法のものだろうか?
レーベル会社や作成者本人がアップしていることも、近年では増えてきたがそれでもまだまだ違法なものの方が多い。
Yotubeに音楽を上げる際、法に触れずにアップするにはこれだけの手間がかかるのだ。
個人が上げている動画でここまでするとも思えないし、実際していないだろう。
音楽だけではなく、アニメやドラマでも同じである。見逃したから、見れる地域にいないから。しょうがないから違法視聴。そんな人もいると思う(良くないよ)。
そのような機会損失を避けるため、多くのテレビ局や制作会社は定額ストリーミングサイトに自社作品を出品しているのである。
そのような背景もあって、動画の定額ストリーミングサービスの会社は著しく発展していった。
今やオリジナルコンテンツを自社制作で作るところもあり、まさに時代が変わったといってもいい頃合いだろう。DEVILMAN crybaby最高。
では、漫画はどうだろうか。
最近バズってたツイートにこのようなものがある。
漫画村(違法サイト)がやばい。
— はむくに (@HAMuKUNi) 2017年12月25日
職場には子持ちのお母さんがたが多いのだが、最近彼女らほぼ全員から「自分の子供か漫画村にハマっている」「子供にすすめられ利用をはじめた」「おかげてジャンプやマガジン、単行本を買わなくなった」と聞くのだ。
小中学生の間で漫画村がかなり流行ってるのだ。
本でもなんでも読まないより読むほう子のほうがマシとはいえ、コンテンツに金を払わない習慣が子供についてしまうのは非常にまずい。加えて、
さらに問題なのは、小中学校たちは違法サイトだとわかって利用してるということ。
— はむくに (@HAMuKUNi) 2017年12月25日
今日は「海外にサーバーがあるから使っても逮捕されないしサイトもなくならないって子供がいってた!」と話してて苦笑いしかでなかった。
ということらしい。罪の意識あるんかい!いやないのか・・・?
このツイートの「罪にならない」とかいう部分、P2Pソフト全盛期に掲示板に書かれていた「私的利用は適用の範囲外」やら「親告罪だから訴えられない限りセーフ」、「アップロード者が罰せられるだけで利用者はセーフ」みたいな理論のまんま。懐かしさすら覚えるわ。(この部分は法改正とかあったので当時とは状況が違うはずだがここでは割愛、ggrks)
Twitter情報なので真偽はわからないが、漫画村が重い理由はマイニングコードを仕込んでいて、勝手に利用者のデバイスのリソース食ってるからなんですってね。ちょっと前にイケハヤもやってたね。
このマイニングコードを仕込むこと自体は別に違法じゃないんですが(現段階では)、あんまり心象よくないよね。
そもそも親が叱るべきであって、子供のリテラシーの前に親のそれが涵養されていなかったことのほうが問題である。今小中高生の子供の親なら、20代後半~30代後半であろうか。だいたい2001~2010に青春を過ごした世代だと思う。この頃と言えば、CDの売り上げが落ち(90年代が以上だっただけかもしれないが)、アニメやドラマの違法視聴が問題視されてきた頃とばっちり符合する。そもそも親世代がそうやってコンテンツにリスペクトを示さず、乞食をしていたわけだからしょうがないのかもしれない。
しかしこうも簡単に違法視聴が可能になるのも考えものですね。
昔からこのような違法視聴をする人のことを「割れ厨」なんて言ったりしますけど、今はなんていうのでしょうか。
そもそも割れって結構手間かかるじゃないですか。Winnyとかtorrentはファイル流出の恐れがあったり、PSPのゲームやろうと思ってもわざわざCFW導入しないといけなかったり、ISO化しないとどうしようもなかったり…めっちゃ手間かかるんですよ。なんで詳しいかは察してくれ。今その時の償いでアホみたいに定額サービス契約してるんで許してください!なんでもしますから!
でもあの時に色々調べて、失敗して、怖い思いして今があると思うんですよね。あんだけ無駄な努力した結果、普通に金出して買ったほうが楽だし早いしってのに気づいて。
そういう人も結構いるんじゃないですかね。
でも漫画村はその苦労の部分を取り除いてるわけですよ。
そりゃ楽に見れるわけですから、やめようなんて思わないし、そんだけのリソースで見れるものをなんで金払ってまでって思っても仕方ないよね。
この苦労の代行って部分が大きいかも知れない。これはキュレーションサイト、まとめサイトが流行るのと同じ構造なきがする。
結局今の日本人は努力したくないだけの怠け者がはびこってるだけなのかもね。だから違法サイト使ってても、厚顔無恥でいられるんだよきっと。
p.s.
でも声優志望の中高生って増えてますよね。自分で作品に投資なんかしないのに、いい作品作れると思ってるんですかね。
大阪市の吉村市長は拙速なのか。
個人的にはもう少し期間取るべきかな~と思ったり。
まぁでも、サンフランシスコの市長は両親が中華系だったりするし、判断覆す気もないだろうから早めに動いてもいいのかな、とも思ったり。
これだけ早い動きは、今年風に言えば政府への「忖度」と取られても仕方ないかなとも思うけど。だけどまぁ、慰安婦問題はこれからどうなっていくのやら。
フリー雀荘デビューした話。
2半荘だけだけどデビューしてきました。結論から言うと、とりあえずトータルプラス。全25局くらいのうち、リーチは10回くらいかけたかな。アガリは6回くらい、放銃は2回?だったと思う。対局中は記録取れないから、覚えている限りでしかないけども。順位は3着(-26)、1着(+50くらい)だった。
特に記憶に残っているのが2半荘目の南1局、僕は南家。なんとなくの配牌は
三四2p2p4p4s4s發撥白白南東(多分こんなんだったと思う)
配牌の段階で4対子くらいはあったから、チートイになればいいかなぁって思った。でもいきなり撥が出てきたのでちょっと鳴くか考えた。最近のテーマとして、字牌の2鳴きは一巡損するだけかもしれないってのがあったので。でも鳴かなかった。これはなんとなく。その後6順目くらいで五をツモったし、順子っぽくも育ってきた。
二三四五2p2p4p4s4s發撥白白
しかしここで大きな選択を迫られる。4s、2pと立て続けにツモった。暗刻大好きの僕は当然残す。そしてテンパイ。
三四五2p2p2p4s4s4s發撥白白
そして大きな転機が。三をツモ。四切りで一度テンパイ外し。そこに親のリーチ。多分ピンズ待ち。
そしてツモったのは撥。行くしかない。五切りでリーチ。当たらず。
三三2p2p2p4s4s4s發發撥白白
三、白待ち。
そして一発目、出来もしない盲牌。出来ないはずの盲牌なのに、確かに「上がった」と思った感覚があった。
「ツモ」
晒した牌は白。四暗刻一発ツモ。ここで前の半荘の負けも取り戻す。
初めてのフリーでこんだけの経験したので、もう通うしかないような気がしました。
バカに政治は語れないのか
高校の公民の時間。高校3年になり、地理歴史に加えて倫理政経を選択することができるようになった。クラス内ヒエラルキーの高いやつらが、尖閣問題について何か言っている。
それは、当時の僕には耐え難い苦痛だった。「バカどもが何か言っている、お前らの意見など無駄でしかないんだからやめればいい」、当時の僕は本気で思っていた。
『そこまで言って委員会』や『TVタックル』がお気に入りのテレビ番組で、ニコ生の政治討論などをよく見ていた(時には参加して)17歳の少年にとって、普段政治のことなぞ考えず、授業中にふざけているようなやつら(ここは半分、いやほとんど僕の好き嫌いであるが)に政治がわかってたまるか。ドント式の計算を間違えたり、円高円安の概念が理解できない癖に何粋がっているんだ。その前にEUの変遷を覚えたらどうだ。そんな思いを抱えていた。
ここだけ見るとネトウヨをこじらせたようにしか見えないが、僕自身の中ではネトウヨたちに対しても嫌悪感はあった。政治を語るには学がなければならない、そんな思いに駆られていた僕にとって、学歴も示さずネットで延々と吠え続ける彼らは滑稽でしかなかったからだ。とはいえ、似たような思想だったため、違和感を感じながらも意見を肯定する前提でそういったものを読んでいた。
と同時に、自分の意見にも正当性がないように思えて仕方なかった。僕にとっての政治的正当性とは、学歴による権威づけが必須の条件だった。だからこそ、ある程度自分の中にあった政治的意見は当時なんの意味もなかった。だって高校生だし。しかも田舎の。その上微妙な公立高校の。
だからこそいい大学に行きたかったのだ。きっといい大学に行ければ、自分の中の政治的意見に自身も持てる。ネトウヨ連中や、クラスで政治の話をしてカッコつけていたやつらとの差異をつけることができる。でもそんなことはなかった。
そもそも政治は様々な人間の利害関係の調整にすぎない。政治学科なのにほとんど政治の勉強なんてしていない僕でも、そのくらいは学んだ。人々の意見を調整して行く上で、落とし所を見つける作業そのものである。ならば、絶対的に正しい意見なぞあろうはずがない。高校生の時の僕の基準だった学歴による権威づけが絶対なら、東大法学部の人間だけで政治をすれば絶対に間違うことはない。でも、そんなことは多分ない。そんなことに気づくのにだいぶ時間を食ってしまった。
そもそもそんな思いを抱えてしまったのはクラス内でヒエラルキーが低くて鬱屈していたからな気もする。でもそんな風に思う人は他にもいる気がする。
あの頃があるから、今の大学にいれることを考えると、ある種当時の「熱病」のような症状には感謝せざるを得ない。
その後遺症だろうか、時々「文キャンとか所沢キャンパスのくせに政治語るやつなんなん」と思わないでもない。二回も留年してる僕が、一番政治を語る資格などないのだろうが。
他人のお金で射精した話。
先日、初めて飛田新地に行った。
その時の僕の財布には2000円くらいしかなかったが。
でも僕は、キッチリ射精した。
人の金で・・・・・・
行ったことのあるひとならわかると思うが、あの区画はマジで異世界だ。
天王寺駅の方から歩いていく道中に通った大きなショッピングモール、まだできて間もないであろうマンション群を見上げながら歩いていると、子供たちの笑い声が聞こえてきた。
本当にこんなところに飛田はあるのだろうか?友達についていくだけの僕は疑い始めていた。
「見えてきたよ」
先を行く友達が言う。
まさかと思い角を曲がり、下り坂の向こうに目をやると、小さな時計台が見える。
そこから向こう側には背の低い日本家屋の群れが見えた。
「あれだよ、飛田」
まだ実感がわかない。
坂を下りてどんどん近づいていく。
いよいよ時計台の目の前についた。大阪に着いてからやたらとみる「モータープール」の看板が気になりつつも、いよいよ未知の世界に飛び込む。
時計台の裏にある階段を下りる。
階段を降りきると、少し離れたところのベンチに座ってそわそわしている男の一団が見えた。目的は一緒だろう。
男たちに心の中でGood Luckと言って、中心を目指して歩き出す。
まだ16時過ぎだったこともあり、明かりのついた店は少なかったが、飛田新地とはどんな場所なのか推し量るには十分だった。
道が直線状に伸びて、キッチリ整備された区画は、日本史で習った条坊制を思い起こさせる。
歩いていると、店の中からキャッチのババアと若い女の子が声をかけてくる。
「お兄さんおいで」
「早くしないと取られちゃうよ」
間違いない。
飛田の女性はキレイどころが集まっており、他とは一線を画していると聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった。
そりゃ、かわいい子はすぐ売れるから早く入った方がいいに違いない。
でもなババア、申し訳ねぇ。
俺今2000円しかもってないの。
確か15分と20分のコースがあって、15分が11000円でしょ。
手持ちが11000円の1/5でしょ。よし、3分のコースなら入れるな(錯乱)
なんてことはなく・・・
「あの子かわいいな」
「あっちもかわいいぞ」
なんて会話をしながら歩いていると、飛田の出口のようなところについた。
店に入るにしても、とりあえず一通りみてからということになっていたので予定通りだ。
「まだ早いからあんまり空いてないし、今入るのもったいないよな~」
「俺もそう思う」
思ってない。今すぐにでも入りたい。なんならマジでタイプの子がいたのだ。
芸能人にたとえるなら益若つばさのような子だった。
風俗に行くようになって3年目になるが、あんなにかわいい子は見たことがない。
ギャルが好きな僕は、いますぐにでも行きたかった。
でもイケなかった。
金がないから。
だって、手持ちが2000円しかないから。
実を言うと、この前日に別の新地にも行っている。
そこでなけなしの一万が飛んだ僕には、本来飛田に行く余裕などなかった。
でも来てしまった。
だって行きたいんだもん。理由はいつだって単純だ。
だがしかし、「行きたい」という気持ちだけで来た僕は、「イキたい」という欲望に責められることになってしまった。
「とりあえず、時間つぶそう」
僕が呟くと、友達は同意してくれた。
「じゃ西成いこっか」
「西成ってなんかあんの?」
友達に知っている知識を伝える。
「なんでそんなとこ行きたがるの?」
至極まっとうな質問だ。
「将来俺もお世話になるかもしれないからさ」
半分冗談、半分本気でこんなことをいった。
僕には今、ふつう学生が拵えるような金額ではない借金がある。
初めは少しだったものが、ちょっとずつちょっとずつ貯まっていくものだ。
そんな状態の僕だから、自分で言った冗談が冗談に思えなかった。
「ちげぇねぇや」
友達が笑う。
ほんとのところを言うと、ただ興味があったから行きたかっただけだ。
住んでいる人からしたら迷惑だろうが、一度西成に行ってみたかったのだ。
僕は自分の欲求に正直に生きすぎなところがある。
それでも後悔は少ないので、悪い生き方ではないのかもしれない。
西成はすごいところだった。
浅いレポートをしてはいけないところだと思うので割愛するが、体験したことのないような衝撃を受けた。
個人的には、千原ジュニアが言っていた、『昔はブラウン管だったのに今は薄型テレビになっている』という公園においてあるテレビが見れて良かったなと思った。
西成をあとにして、飛田に戻る。
道中、飛田本通り商店街を通っていると学生らしき一団がいた。
10人ほどだったろうか。繁盛しているとはとうてい言えない商店街の中にあって、騒がしい彼らは非常に目立った。
歩いていく先が僕たちと同じだったので、少し嫌な予感がしながらも彼らを追い抜き、僕たちは先に飛田へと戻った。
さっきより空いている店が多い。
友達と、今度こそ入るかと相談する。
でも金はない。
「俺、やっぱいいや」
言いたくない言葉が口をつく。
「どしたの?」
友達が聞くので、正直に打ち明けた。
「今2000円しか持ってないや」
「貸すよ」
多分僕はこんな状態だったと思う。
「一万円お願いします・・・」
「今度返せよ」
友達が神に見えた。
いや、友達の地位が上がったというよりは、僕の地位がめちゃくちゃ下がったのだろう。
そりゃそうだ。
今から僕は、
他人の金で射精するのだ。
およそ真っ当な神経をしているとは自分でも思えない。
でもしょうがないじゃん。
おとこだもん。
そんなこんなでもう一度通りを歩く。
かわいい子が増えてる!なんだここ!
改めて興奮した。
加えて、今から他人の金で射精するのだという背徳感が湧き上がってくる。
めちゃくちゃ興奮してくる。
どれ、早く入ろう。
店をあと少しで決めようとしているとき、さっきの嫌な予感が的中する。
あの一団だ。
そりゃ、こんな非日常の空間に来たら騒ぎたくなるのもわかる。
実際、僕も飛田の外で騒いだし。
でも、店の前で騒ぐのは違うだろ?
店の女の子は、彼らが入店する気などないことをわかっていても笑顔を崩さない。
彼らがいるせいで、入ってくれたかもしれない客がどれだけ入らなかったのか、今となってはわからないが、少なくとも僕は入りにくかった。
知っている人には『風俗キャラ』みたいな認定を受けてもなんとも思わない。
でも、やっぱり今も風俗に入る時の周りの目は気になるものだ。
まして、飛田のように入口が大っぴらになっているようなところだとなおさら。
興味や関心でくるのは構わない。
それは僕が西成に行ったのと同じ感覚だろう。
でも、そこの人たちの生活を奪ってはいけない。
騒いだ彼らのうち、どれだけの者が実際に入店したのだろうか。
彼らが騒いだせいで、中の女性たちが稼ぐはずだったのに稼ぎ損ねた金額はどれくらいだったのか。
新地という特殊な場所では、そのことを忘れてはいけないと思う。
まぁ、僕は人の金で射精したわけだけども。
最終的に選んだ女の子は上原亜依似の子だった。
時間があまったので話をしたら、流石大阪というところか、非常に面白い。
ちなみに15分で入って、13分はしゃべってた気がする。
コスパいい~~~~~~~~~~~~~~。
こうして僕の初めての飛田は借金という形で達成できた。
もちろん、後日ちゃんと返した。
まだほかにたくさん借金あるけどね。
おわり